山登りとギアと負荷と

スプロケットの購入に悩んだので、出力から登坂速度を計算するスプレッドシートを作ってみた。

結果・・・270Wでのぼる場合、12%の坂で70回転を維持しようとすると28Tが必要なことがわかった。

やっぱり28Tって必要だったんだね!!



自分で計算したい人はお持ち帰り用がこちらに。
GoogleDocument にアップロードするならOpenOffice用を使った方が良いかも?

レビュー : Rotor Q-Rings

今回のレビューは Rotor Q-Rings です。



見ての通りの楕円チェーンリングで、売り言葉は「このチェーンリングは、重いギヤを踏むためのものではない。  デッドスポットを素早く通過することで回転を上げ、同じ負荷でもスピードを上げることができるのである。」とのこと。

たとえば53Tのチェーンリングの場合、最大時に56.5T相当、最小時に50.4T相当になります。

さて、その売り言葉に対する私の主観ですが、売り言葉は「うそ」です。Q-Ringsの神髄はそんなところにはありません。一番大きな恩恵は「脚の筋肉の大きさに合わせて負荷を調整するため、眠っている筋力のポテンシャルを引き出せること」です。

皆さんもご存じの通り、脚の筋肉にも大小があります。そのため、踏み込み時には大きな筋肉で大きな力が出せますが、デッドスポット近くの前後の動きの時には小さな筋肉で小さな力しか出せません。

しかし、真円チェーンリングを等速で回す(=加減速を少なくして総合負荷を下げる)ためには、踏み込み時でもデッドスポット周辺でも同じ出力を出す必要があります。そのため、結果的に回せるギア比は、小さい方の筋肉の出力に引っ張られます。

たとえば、大きい方の筋肉で56Tが回せるけれども、小さい方の筋肉で50Tしか回せない場合、回せるチェーンリングは50Tに近くなります。たとえ53Tであってもを回そうとすると小さい方の筋肉が先に疲労するため、回転の維持が次第につらくなっていくはずです。

これが Q-Rings を使えば、53Tの負荷が分散され、大きな筋肉に56Tの負荷が、小さい筋肉に50Tの負荷がかかるようになって回転の維持が可能になります。つまり、真円チェーンリングでは眠らされていた、大きな筋肉の56Tで回せるポテンシャルが引き出されたわけです。

ちまたでは、「Q-Ringsを使うならギア比を下げて回転数を上げないと意味がない」とか言われていますが、そんなことはないはずです。たとえ、回転数を上げなくてもポテンシャルが引き出された分だけ速くなる or 疲労が溜まりにくくなる、はずです。

ちなみに、Q-Ringsの効果は、私みたいなホビーユーザよりも、トレーニングを積みまくっているシリアスレーサーの方が大きいはずです。それは、筋肉の発達もその大小に依存するため、トレーニングを積んでいる人ほど大小の筋肉の出力差が付いているはずで、真円チェーンリングで眠らされているポテンシャルが大きいと見込まれるからです。

また「Q-Ringsが上手く働くように楕円あわせて踏む訓練をしなければ効果はない。逆になっている時に踏めば小さな筋肉に負荷がかかって逆効果」といった主張もお聞きしましたが、それも心配しなくて平気です。たしかに、楕円チェーンリングは90度ずれると効果が反転します。また、45度で真円チェーンリングと同じになります。逆に言えば、45度までであれば効果があるのです。

では、45度ずれることはあるのでしょうか?

結論から言えば、まずありません。踏み込み位置が一番ずれるのは、上り坂でダンシングした場合です(シッティングなら上り坂でも踏み込み角度は変わりません)。しかし、30%の上り坂でも、坂の角度は18度です。50%の坂でも30度の角度しかありません。つまり「普通に走っている限り、真円チェーンリング以下になることはない」ということになります。


デメリットとして、ほんの少しだけ変速性能が落ちますが、調整でなんとでもなります。実際に2000kmほど乗っていますが、まったく違和感はありませんし、変速も問題ない範囲内に収まっています。真円チェーンリングとの違いも2〜3日で、まったく感じなくなりました。それでいて、登りでも平地でも速度維持が容易になりました。同じような楕円チェーンリングのO,SYMETRICの場合、プロで出力15%、タイムで2%の向上があったというのも、実際に乗っている体感的に、すごく納得がいく結果です。

私の結論としては「理論的に見ても、使った実感としても、Q-Ringsを使わないという選択肢はない」ですね。

追記: 出力15%向上云々は、O,SYMETRICの場合だった orz

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