コンタクトの種類と酸素の関係 1/2 (大気中の酸素の取り込みについて)

私は比較的安全と言われているハードコンタクトを使っています。その論拠となっているのが異物感から感染症や角膜損傷に気がつきやすいことと、目への酸素供給量が多いということです。

ところが、先日見つけた記事ではシリコーンハイドロゲルで作られたソフトコンタクトのほうが酸素透過率(DK/L)が高いというじゃないですか。具体的にはチバビジョンのO2オプティクスとボシュロムのピュアビジョン、それとジョンソン・エンド・ジョンソンのアキュビュー アドバンスアキュビューオアシスです。これに乗り換えるべきかどうか、検討してみました。

まず、人間の角膜に酸素が送り込まれる経路ですが、おもに4つあるようです。
  1. 大気中から
  2. 涙液から
  3. 角膜の裏にある前房水から
  4. 角膜周囲にある輪部血管
(出典: (pdf)第12回 ビジョンフォーラム 「角膜と酸素」 講師 西田輝夫先生 (山口大学大学院医学系研究科 眼科学教授))

このうち、「前房水」と「輪部血管」からはコンタクトと無関係なので、「大気中」と「涙液」からが問題になります。

今回は記事が長くなったので2回に分けます。今回は1つ目の「大気中の酸素の取り込みについて」の比較です。

大気中の酸素の取り込みについて

角膜の表面が大気中の酸素にどれくらい接しているかを示す値にEOP(equivalent oxygen percentage)値があります。裸眼時のEOP値は海面上の酸素分圧115mmHGを基準として21%とのことです。これに対して、シリコーンハイドロゲルのソフトコンタクトレンズは20.58%(21%の98%)の酸素透過性があるとのことです(アキュビューの場合)。酸素透過率(Dk/L値)は85.7×10^-9(cm・mLO2/sec・mL・mmHg)とのこと。

ちなみに従来品(ワンデーアキュビュー)のDk/L値33.3×10^-9(cm・mLO2/sec・mL・mmHg)です。これのEOP値が見つからないのですが、この次に書くメニコンティニューのページにあるグラフによれば、11%ぐらいに見えます。唯一見つけた2chの板の情報によると18.47%(21%の88%)程度との説もあるらしい(信頼できるソースの情報があれば、コメントをお願いします)。

ではハードコンタクトレンズはどれくらいかというと、メニコンの発表によれば、メニコンティニューで20%程度のEOP値があるようです。メニコンZも素材と最厚部の厚みが同じでDK/L値も同じなので、同程度のEOP値があるのでしょう。もっとも、メニコンはDL値の計測方法が他とは違うらしい、との意見もあります。ざっと見渡した中で、信頼するとするならある奈良県の眼科医が目について書いたブログにあるDK/L値 67 でしょうか。もっとも、この場合でも18%程度のEOP値が確保できています。

結論としては、ハードコンタクトでもシリコーンハイドロゲルのソフトコンタクトでもあまりEOP値は変わらないようです。メニコンティニューの図によれば、DK/Lが90を超えたくらいからはEOP値の変化が少なくなり、100を超えてもあまり意味はないのかもしれません(O2オプティクスはDK/L 175)。

ただ従来型のソフトコンタクトはEOP値が11%などと圧倒的に低いため、できる限りシリコーンハイドロゲルのソフトコンタクトに乗り換えるべきだと思います。

追記:
2008/01/28
第12回 ビジョンフォーラム 「角膜と酸素」 講師 西田輝夫先生 (山口大学大学院医学系研究科 眼科学教授)のPDFへのリンクが間違っていました。修正しお詫びいたします。

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