コンタクトの種類と酸素の関係 2/2 (涙液交換について)

前回から、シリコーンハイドロゲルのソフトコンタクトにハードコンタクトから乗り換えるべきかの検討について、後編の涙液交換についてです。

前回にも書いたとおり、角膜への酸素供給経路は、4つ有り、そのうちコンタクトが関係するのは「大気中」からと「涙液中」からになります。

涙液には大気中の酸素が溶けており、角膜へ最終的に届ける働きがあります。前回「大気中」からの取り込みについて述べましたが、これも最終的には大気中から涙液に移り、そこから角膜へ届けられます。つまり、前回検討したのは、コンタクトの下にある涙液にどれくらい酸素が移りやすいか、ということのようです。

この角膜上の涙液は、瞬きによって新鮮なものに入れ替わります。具体的には白目のところにある涙液と入れ替わります。乱暴に言えば、白目は血管から直接酸素を取得するため、涙液からは吸収しないためです。

涙液交換率は、裸眼で25%程度(メニコンティニューのpdfより)、ハードコンタクトの場合で20%程度(メニコンティニューはなんと25%近く)、ソフトコンタクトで2%程度となります。ハードコンタクトは涙液交換率が良いため、酸素を一切通さない古いハードコンタクトでも、4秒に1回の瞬きがあればEOP値 7% (睡眠時と同程度)が保てるため、安全性に問題が残るものの装用可能です。一方でソフトコンタクトレンズの場合は、圧倒的に涙液交換率が悪いため、ほぼソフトコンタクト自体の酸素透過率だけに頼ることになります。

以上の点と素材によるEOP値の違いが余りないことからも、涙液交換によるハードコンタクトの優位性は明らかです。また、これについては、もう一点理由があり、酸素透過率以外にも涙液交換には、涙液中に溜まる角膜の新陳代謝老廃物や、はがれた上皮細胞等を押し流すといった役割があるからです。

結局のところ、総合的に見て、たとえシリコーンハイドロゲルSCであってもハードコンタクトに勝ることはない、といえそうです。

今現在、目の健康を考えるなら、20%程度の高酸素透過率を誇り、裸眼とほぼ同等の25%程度の涙液交換率を誇るメニコンティニューが一番良いのでしょう。続いて、ハードコンタクトレンズ、シリコーンハイドロゲルのソフトコンタクトレンズと続き、可能な限り旧来のソフトコンタクトレンズは避けるべきでしょう。以上が、本検証の結論になります。

色々参考にさせていただいたところ:

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